【書評】川喜田敬『ゆるい起業で生きていく』17のしないことリストが教えてくれた、自分らしい起業の本質
「しないことリスト」という発想が、わたしの固定観念を壊してくれた
正直に告白すると、わたしがこの本を手に取ったとき、最初に感じたのは「ゆるい起業って、大丈夫なの?」という疑問でした。
起業というと、どうしても「全力で挑む」「犠牲を払ってでも前に進む」「常に成長し続ける」というイメージが先行しがちです。わたし自身も、起業初期のころはそんな思い込みの中にいました。でも川喜田敬さんの著書『ゆるい起業で生きていく』を読み終えたとき、わたしの中に静かな確信が芽生えました。
「あ、これが本当に自分らしい起業のかたちだったんだ」と。
今日の記事では、この本の核心である「17のしないことリスト」を中心に、わたし自身の体験を絡めながら、自分らしく生きることを望む女性起業家の視点でたっぷりとお届けしていきます。あなたが「しなくていいこと」に気づいたとき、きっと前に進む力が湧いてくると思うから。
川喜田敬さんとはどんな人?ひとり起業の実践者が語る「ゆるさ」の本質
川喜田敬さんは、長年にわたりひとりで事業を営んできた実践者であり、その経験から生まれた「ゆるい起業」という概念を体系化した著者です。
いわゆる「ガチガチの成功法則」や「根性で乗り越えろ」という世界観とは一線を画し、自分の価値観やペースを大切にしながら生きていくためのビジネスのあり方を提唱しています。
わたしが特に共感したのは、川喜田さんが「ゆるい起業」を「楽して稼ぐ」ということとはっきり区別している点です。ゆるさとは、力を抜くことではなく、自分に合わない無駄な力みをやめること。この定義が、読み進めるうちにどんどん具体的な言葉で明らかになっていきます。
なぜ「しないことリスト」なのか?引き算思考が起業を救う理由
多くのビジネス書は「何をすべきか」を教えてくれます。でも川喜田さんはあえて逆のアプローチを選びました。「何をしないか」を明確にすることこそが、自分らしく生きるひとり起業家にとっての最強の武器になる、という考え方です。
これはわたし自身の体験ともぴったりと重なりました。起業初期、わたしはとにかく「やること」を増やし続けていました。SNSも更新しなければ、メルマガも続けなければ、セミナーにも参加しなければ、人脈も広げなければ。やることリストは無限に増え続け、気づいたらわたし自身の声が聞こえなくなっていたのです。
結果として、あのときのわたしは体力的にも精神的にも疲弊して、一度すべてをリセットする経験をしました。今思えば、「しないことを決める」という勇気が、あの時期のわたしには必要だったのだと感じています。
引き算の思考は、スピリチュアルの文脈でも「余白をつくること」として重視されます。やることでいっぱいになった器には、新しいものが入ってこない。川喜田さんのメッセージは、そのことをビジネスの実践レベルで教えてくれています。
「17のしないことリスト」から特に響いた3つの教え
本の中で川喜田さんが提示している「しないことリスト」は、読む人によって刺さるポイントが違うと思います。わたし自身が特に心を動かされた3つをご紹介します。
①「無理なお客様とつきあわない」
これは起業を始めたばかりの方には特に響くのではないでしょうか。売上が安定しない初期のころは、「お客様は誰でもウェルカム」という姿勢になりがちです。わたしも例外ではありませんでした。
でも川喜田さんは明確に言います。無理なお客様とのやりとりは、時間とエネルギーを消耗させるだけでなく、本当に大切にすべきお客様へのサービスの質も下げてしまう、と。
これを読んだとき、わたしの脳裏にかつての自分が浮かびました。どう考えても価値観が合わないクライアントからの依頼を断れず、何週間も心が重くなっていたあのころのこと。断る勇気は、相手への誠実さでもあるのだと、この本を読んで改めて気づかされました。
②「完璧を目指さない」
「完璧でなければ発信してはいけない」「まだ準備が足りない」という思い込みは、特に真面目な女性に多いブロックです。わたし自身も長い間このブロックに縛られていました。
川喜田さんはこう伝えます。完璧を目指すことで一歩が踏み出せなくなるなら、それは完璧ではなく停滞だ、と。まず動いて、動きながら磨いていくというスタイルが、ひとり起業家には最も合っている、という考え方です。
スピリチュアルの観点から言うと、完璧を求める背景には「今の自分では不十分だ」という深層の思い込みが隠れていることが多いです。内側を整えるというのは、完璧な自分になることではなく、今の自分でいいと認めることから始まります。この本はそのことをビジネスの言葉で教えてくれています。
③「比べない」
インスタグラムを開けば、華やかな女性起業家の投稿が次々と目に入ってくる時代。「あの人はもうそんな収益が出ているのに、私は…」という比較地獄に入ってしまうのは、今の時代の起業家が直面しやすい落とし穴のひとつです。
川喜田さんは、比べることをやめるのは精神論ではなく、戦略論だとも言えると説いています。他者との比較に使うエネルギーは、自分自身の強みを磨くことに使った方が、結果として自分らしいビジネスが育ちやすい。これは数値的な話というより、行動の方向性の問題です。
みのりの読者さんの中にも、SNSを見るたびに誰かと比べてしまい、気づいたら自己嫌悪に陥っている、という経験がある方はいらっしゃるのではないでしょうか。この本は、そのループから抜け出すためのきっかけを静かに与えてくれます。
「ゆるい起業」は甘えではない。自分軸を守るための戦略である
ここで一度、誤解を解いておきたいと思います。「ゆるい起業」というフレーズを聞いて、「楽して稼ごうとしている」という印象を持つ方もいるかもしれません。でもこの本を読めば、そのイメージは完全に覆ります。
川喜田さんが提唱するゆるさとは、「自分らしさを守り続けるための意志」です。頑張ることが目的化した起業は、いつか自分を失います。自分が消えたビジネスは、長続きしません。
これはわたしが15年の起業生活の中で、身をもって学んだことでもあります。最初の数年間、わたしは「成功している起業家のやり方」を模倣することに必死でした。でも真似しているだけのビジネスは、どこか薄っぺらくて、お客様にも伝わってしまうのです。
内側から湧き出るものを、自分のペースで届ける。それがいちばん強くて、いちばん継続できる起業のかたちだとわたしは今確信しています。そしてその確信を言語化してくれたのが、この川喜田さんの本でした。
ひとり起業家として「しないこと」を決めるための3ステップ
この本を読んで終わりにせず、実際に自分の「しないことリスト」を作るための具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:今の「やっていること」をすべて書き出す
まず紙またはNotionなどのデジタルツールに、自分が現在ビジネスのためにやっていることをすべて書き出してみてください。SNSの更新、メール対応、コンテンツ制作、勉強会への参加など、思いつく限りすべてを列挙します。
ステップ2:それぞれに「なぜやっているか」を問いかける
書き出したリストのひとつひとつに「なぜこれをやっているのか?」と問いかけてみてください。「誰かがやっていたから」「やらないと不安だから」という理由のものは、見直しの候補です。自分の価値観や強みに紐づいていないものは、手放す選択肢に入れてみましょう。
ステップ3:「しないことリスト」を3つだけ決める
最初から多くのことをやめようとすると、かえって混乱します。まずは3つだけ「しないことリスト」を決めて、1ヶ月間実践してみてください。やめてみてはじめて、どれだけ自分がそれに時間とエネルギーを使っていたかが実感できます。
この本をとくに手に取ってほしい女性へ
川喜田さんの『ゆるい起業で生きていく』は、以下のような状況にある方に特におすすめしたい一冊です。
・起業したいけれど「私にできるのかな」と自信が持てない方
・すでに起業しているけれど、どこか消耗感を感じている方
・完璧を目指しすぎて、なかなかスタートできない方
・他の起業家と比べて落ち込むことが多い方
・自分らしい働き方を探しているけれど、そのかたちがまだ見えていない方
この本は難しい専門用語もなく、事例も非常に身近でわかりやすいため、起業初心者の方でもスムーズに読み進めることができます。読書習慣をこれから作っていきたいという方にも、入り口として最適な一冊です。
わたし自身の「しないことリスト」も少しシェアします
せっかくなので、わたしが現在実践している「しないことリスト」の一部もお伝えしますね。
・比較してモヤモヤするSNSアカウントをフォローしない
・エネルギーが下がると感じるお客様からの依頼を受けない
・自分のビジョンと合わない案件を「お金のため」だけに引き受けない
・完璧に仕上がるまで発信を待たない
・深夜にビジネスのことを考えて眠れなくなる思考習慣を続けない
これらをひとつひとつ実践することで、わたしの起業はずいぶんと「自分らしく」なっていきました。売上だけでなく、日々の満足感や仕事へのワクワク感も変わりました。
「しないことを決める」というのは、自分の時間とエネルギーの使い方を自分でコントロールするということです。それはとても静かで、でも力強い自己宣言です。
本を読んだ後に「次の一歩」を踏み出すために
本を読んで「いいな」と思っても、行動に移せなければ現実は変わりません。わたしも1000冊以上本を読んできた中で気づいたことがあります。本から得た気づきは、48時間以内に何か小さな行動に変換しないと、そのまま情報として埋もれてしまいやすいということです。
だからあなたへの問いかけとして、こんなことを考えてみてほしいのです。
今のあなたのビジネスや副業の準備の中で、「本当はやめてもいいのに続けていること」はありますか?
答えがすぐに浮かんだなら、それがあなたにとっての「しないことリスト」の第一候補です。まずそれを一つだけやめてみることが、あなたの「ゆるい起業」の始まりになるかもしれません。
まとめ:「しないこと」を決めることが、自分らしい起業の出発点
川喜田敬さんの『ゆるい起業で生きていく』は、やることを減らして手を抜こうという本ではありません。自分らしさを守るために、何を手放すかを意識的に選ぶための本です。
大丈夫、あなたにはもう全部あります。あとは「しなくていいこと」を手放して、本当に大切なことに集中するだけでいい。
わたしはそう信じています。そしてこの本は、その「手放す勇気」を静かに、でも確かに後押ししてくれる一冊です。
内側を整えれば、外側はついてくる。ゆるい起業は、その入り口を優しく開いてくれます。
あなたの人生は、あなたが一番の主人公です。
